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随時所感

2013.11.17

一院制の国会について考える

衛藤征士郎代議士の講演を聞いた。

将来の国会のあるべき姿として衛藤氏は、一院制への移行と、戦後一度行われたきり廃止された都道府県毎の制限連記制の選挙制度復活等、持論を展開された。

そこで、今回は一院制の国会ついて、私なりに考えを整理してみたいと思う。

世界の国会の一院制と二院制を比べたとき、歴史的に戦前は元祖議会国家である英国の政治制度に倣って二院制を採用した国が多かったが、戦後の独立国は一院制を採用する国が圧倒的に多く、又、二院制から一院制へ移行する国も増えており(例:ニュージーランド、スウェーデン等34カ国)、国の規模にもよるが、世の中の流れは一院制に傾いているといえる。

一般的に一院制は「両院の議決が対立し法律の整備が遅れる事がない」、「両院の議決が一致する場合、重複作業が省かれ立法が早まる」あるいは、「人件費や選挙費用等、経費が削減できる」等、その利点をつき詰めれば“効率的かつ経済的な制度”という点に尽きる。

一方、二院制は、司法における三審制と同様、人間は過ちを行うものであるという前提から慎重に手続きを進めること(あえて効率性に制限をかけること)を意図している。

即ち、司法における三審制は、偏に国民の人権保護(誤った判決を出しにくくする)を目的としており、これに異を唱えるものは少ない。

であるなら、本来、立法も国民の人権保護(誤った法律を成立させにくくする)の為に一定の効率性・経済性が損なわれたとしても二院制の意図するところが優先されるべきなのかもしれない。

しかし、現状の日本の二院制(衆参のあり方)が果たして、その意図に対して十分に機能しているかといえば甚だ疑問である。

例えば、大統領制・連邦制国家の二院制では、州を代表する議員(上院)と全国民を代表する議員(下院)と、いずれも民選議員だが、両院の役割分担を決めている例が多く、又、議院内閣制国家の二院制では、実権の殆どない非民選議員(上院)と民選議員(下院)で構成されている例が多い。

日本のように両院とも全国民を代表する民選議員で、選挙制度のみを異にして上院・下院と分けられている例はごく稀であり、これこそ日本の二院制の機能に疑問を感じさせる原因ではないかと考える。

では、日本を一院制とした場合、議員を選出する際に、複数の選挙方法を用いた選挙制度(例えば定数を仮に500議席としたとき、全国比例で150、小選挙区で150、中選挙区で200というようなイメージ)にすれば、現状の衆院と参院が存在している効果を一院の中に反映できるのではないだろうか。

今更、参院を非民選の貴族院にすることは考え難く、選挙制度のみを異にする二院しか手がないのであれば、いっそ一院制とし、その中を二院のごとき複数の選挙制度にして民意の取り込みに幅を持たせれば、現状の人権保護を損なわず、効率性・経済性を享受できるのではないかと考える。

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