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随時所感

2012.12.03

第46回衆議院議員総選挙、明日公示

明日から12日間の選挙戦が始まる。

投票日は12月16日。

思うに、今回の総選挙における争点は次の3つでなければならない。

① 経済政策の方向性

② TPPの是非

③ 原発の是非

特に、①の経済政策の方向性については最重要。

デフレを正しく認識し、その克服のための具体策を示す政党こそが今回、国民に選択されなければならない。失われた20年をさらに延長させるか否か、雇用や社会保障等、国民がこの20年間ずっと抱き続けてきた漠然とした閉塞感、将来への不安の根源がこれである。

ついで②のTPP。

本来、経済政策の範囲、即ち、①に含まれるわけだが、あえて別個に挙げたのは、TPP問題は単に関税撤廃とそれに係る農業問題なのではなく、「非関税障壁」をも撤廃のターゲットに含んだ、グローバル企業の利益のみを最優先に追求する、いわば「民主主義的公共の福祉の否定」という危険性を内包する問題だからである。(詳細なTPPへの見解については過去の当日記で触れたとおり。)

最後は③の原発問題。

多くの政党がお題目のように「脱原発・卒原発」を唱えているが、原発問題は単に現在、日本に存在する原発を廃炉にしても何の解決にもならない。その、廃炉にしたあとの使用済核燃料の問題、いわゆるバックエンド問題に直面するからである。

即時、原発を廃炉にしても残った核燃料の行き場もなければ、その管理には稼働中の原発同様の厳重な管理と危険性がつきまとうのである。

であるなら、感情論は別として、直ちにすべての原発を廃炉にすることが、プロの政治家が政策的に行う判断として正しいのか、また、その代替エネルギーを何に求めるのか、更には、中国や東南アジアなどの新興国が今後、膨大な人口の経済成長を達するためのエネルギー源に原発を求めることが必至であるのに対し、日本が今後一切の原子力技術を放棄してしまっていいのか、即ち、アジアで原発が爆ぜれば黄砂に乗って飛んでくるのは必定であることを踏まえた上で、中国の原発は、日本の大津波をも経験し、反省と改良を重ねた最新鋭の技術による原発によって賄われるであるべきか、それとも中国の疑わしい技術で作られた中国産の原発で賄われることでいいのか否か等々、挙げれば枚挙にいとまがない課題全てについて、感情論とは切り離した冷静で慎重な検証が必要であるように思う。

単に、ポピュリズム的な「とにかく廃炉」という論はあまりにも無責任すぎると言わざるを得ない。

各党の見解を見るに付け、私の挙げる上記3点については、自民党が一番冷静かつ、責任政党としての態度を保っていると言える。

無理もない。自民以外、どの政党も今回の選挙で政権を取れると思っていないのだから。

だからこそ、そんな無責任が、いけしゃーしゃーと言えるのであろう。

3年前は、そんな無責任のまま、政権を取ってしまった民主であったが、結果は言わずもがな、今日の状況が示す通りである。

しかしながら、今回の自民党にも全く心配がないわけではない。

自民党ハト派を自認する私にとっては、今回の自民党の公約における外交・安保の分野において、随分とタカ派が幅を利かせているなという感が否めない。

まさか、どこぞの暴走老人の夢の如く、核武装して中国と戦争を始めることはあるまいが、もし、選挙後の政権の枠組みに自・公・維というシナリオがあるとすれば警戒すべきである。自民党のこれまでより一歩踏み込んだ「国防軍」という表記に擦り寄られ、極右の石原維新の会と万に一つでも連立しようものなら、自民党という1つの政党の運命はもとより、この国にとって、将来に取り返しのつかない火種を残す事態になりかねない。

私自身、竹島や尖閣が日本の領土であることに寸分の疑いも持たないが、それらに係る一時的なナショナリズムは、極右石原維新に付け入らせる隙となりかねない。

石原氏に限らず、維新の有力候補者から「徴兵制の検討」等の言葉が飛び出すのは、時代錯誤も甚だしいが、馬鹿にはできない。

選挙というのは、かの民主党に政権を渡すほどの威力を持つ、国民的一大政治決断の機会であることを忘れてはならない。

ただ、私の思うところ、今、わが国における最大の問題点はいずれにしても前述の3点の課題なのであり、是非この点について、今回の総選挙において、市民の皆さんに冷静なる判断を心から願うものである。

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