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随時所感

2014.07.01

集団的自衛権の論点・要点整理

安倍内閣が本日、集団的自衛権の限定容認を閣議決定した。

集団的自衛権に対する私の個人的な考え方は過去の日記(2013.07.24)を参照いただきたい。

基本的に私個人としての考え方は今も変わらない。

今回の閣議決定が元来の私の考え方と100%一致するかと言えばそうではない。しかし、大前提として民主主義であるから自民党内(総務会)での結論が出た上での閣議決定である以上、自民党員である私はそれに従うのが党人としての道理であると考える。

それは河野談話も靖国問題も同じことと考える。

内容への賛否はどうであれ、過去に自民党の政府として行った対応を踏まえて、現在から未来を考え議論をしなければならないのである。

集団的自衛権においては今後は、この閣議決定を踏まえた上での議論となる。

実際には解釈変更の閣議決定では何も変わらず、実際の法整備によって実質的中身の変更が確定する。

自民党の良さは人材の幅の厚さにあると信じている。

本日は、改めて集団的自衛権の論点・要点をまとめ、自身が議論をするとき等の備忘録としてメモしておく。

◎集団的自衛権の論点・要点整理

<憲法前文抜粋>

「…略…われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。…略…われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

→平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を世界から除去しようとする国際社会で名誉ある地位を占めること。いずれの国も自国のことのみの専念ではダメで、他国と対等に自国の主権を維持し、政治道徳の法則に従わなければならない。日本国民は国家の名誉にかけ、全力でこれらの理想と目的の遂行を誓う。(国連活動への支援・積極参画の論拠)

<憲法第9条>

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

→日本国政府による、国際紛争を解決する手段としての戦争と武力威嚇と武力行使の禁止。(従来の集団的自衛権を『持てども用いぬ』政府解釈の論拠)

<国連憲章51条>

「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」

→国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合、国連安保理が必要な措置をとるまでの間、その攻撃を受けている国には自国を防衛する権利(個別的自衛権)と、攻撃を受けた国と密接な関係にある他国(第三国)には共同で防衛にあたる権利(集団的自衛権)という、どの国家も本来持っている固有の権利は阻害されない。

<国際慣習法上の解釈>

○個別的自衛権とは

国際慣習法上、相手国の攻撃が「急迫不正」のものであり、他に選択の余地がないという「必要性」と選択された措置が自衛措置としての限度内という「均衡性」が、国家が合法的に個別的自衛権を行使するための要件。

○集団的自衛権とは

個別的自衛権の要件に加え、「武力攻撃を受けた国による攻撃を受けた旨の表明」と、「攻撃を受けた国による第三国への援助要請」が追加要件。さらに「第三国の実態的利益侵害」という要件の追加については現在も学説等で意見が分かれる。

※追加要件必要論=自己法益防衛権説(厳格な要件で集団的自衛権の乱用防止)

※追加要件不要論=他国防衛権説(正当防衛が論拠)…武力行使抑制の国連憲章精神との整合性に?

→自己法益防衛説は、集団的自衛権とは、「自国(第三国)と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたことが、自国にとって死活的な法益の侵害にも当たるため、それに対して行使できる権利」だとする考え方。

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